金融サミット宣言骨子をざっと見てみる

政策・規制当局はリスクを適切に評価せず、金融の技術革新についていけなかった

市場、リスクを適切に評価せず 金融サミット宣言骨子(1)

 CDS*1売り手に損失補てん能力がなかったために、連鎖倒産というシステミックな問題が顕在化したことを受けて。売り手の支払能力に保険会社並の規制を設けるべきだという話しの確認。

即効的な内需刺激の財政施策を活用 金融サミット宣言骨子(2)

 金融システム安定、金融政策の中央銀行への要請、内需刺激策(公共事業他)の実施、新興国・途上国の金融危機への対処。
 ここでは"即効的な"と呼ばれているが、私が政府の給付金を支持するのはこの点。減税とほぼ同等効果である*2が、即効性では優位性*3がある。

危機防止へ金融市場と規制枠組み強化 金融サミット宣言骨子(3)

 情報開示の強化と、信用格付け会社に対する強力な監督の実施。
 信用格付け機関はこのたびの金融危機や、日本のREITの破綻においてその無能力を大々的に示してしまった。しかし、ただ監督をやれば解決される問題かといえば難しいようにも見える。例えばサブプライムローン債についても、暴落が始まる半年ほど前から危険性が指摘されていたが、ネガティブなレポートというのは、ポジティブなものと比較して文責が重く発生するものであり、公には発表されない傾向にある。

われわれは、金融システム改革におけるG20の役割にかんがみ、今次原則と決定の実施をレビューするため、2009年4月30日までに再び会合する。

09年3月末までに行動計画 金融サミット宣言骨子(4)

保護主義を拒否し、内向きにならないことの決定的重要性を強調。この観点から、今後12カ月の間に、投資・貿易に対する新たな障壁を設けず、新たな輸出制限を課さず、WTOと整合的でない輸出刺激策もとらない。

ドーハラウンド、年内大枠合意へ努力 金融サミット宣言骨子(5)

 保護主義は世界の生産性を下げる最も簡単な施策だ。もし保護主義を実施すれば、一時的に経常赤字国の収支は好転するだろうが、通貨は購買力を失い、激しい物不足によるインフレに見舞われることになる。第2次世界大戦の教訓にのっとった方策といえる。
 保護貿易を行いそうな国はアメリカである。GMとフォードは経営破綻の危機にある。GMは現時点で6兆円の債務超過だ。GMが破綻すれば初年度で200万人の失業者が増えると見られている。よって、アメリカ政府はこれを救済しなければならない。加えて、オバマ上院議員の所属する民主党は、労働組合を支持母体としていて、なおさらGMとフォードの保護に意欲的になるだろうと予見されている。かつてスーパー301条を行ったのは、同じ民主党クリントン政権であったのだ。
 具体的な保護主義が実施される前に、各国共同でこのような採択を行うのは一定の抑止効果を持つだろう。グローバルな資本移動が維持される限り、流動性の回復は過去のどの金融恐慌よりも早いものとなるに違いない。

*1:クレジット・デフォルト・スワップ社債への保険のようなもので、社債を発行する企業が破産した場合には、CDSの売り手は、買い手に対して損失を補填する。そのかわりに買い手は売り手に対して保険料を支払う。CDS金融商品であったために、通常の保険会社のようなソルベンジー・マージン比率の水準を要求されずに、小額の証拠金で取引されていた。リスクが顕在化したときには非常にレバレッジの高い状態であったが、これが看過されていた。

*2:というか事務手続きを考えれば劣る

*3:法改正の手間、徴税時期の問題で、給付金のほうが早く実施することが出来る