新聞各社の業績が落ち込むのはあたりまえ

捏造報道の問題で、大手スポンサーが軒並み撤退した毎日新聞を始め、国内第2位の新聞である朝日新聞も今期100億円強の赤字を計上する見通しとなった。
もちろん背景には、広告主として大きなウェイトを占める不動産業や貸し金業、そして自動車産業の業績悪化に伴う広告の減少が大きい。しかし、ベースとしての読者数の減少は恒常的に続いており、赤字が常態化する危険性は高い。

新聞各社の業績低迷の理由

インターネットでは、先導的な世論形成の反動だとする意見が多くみられるが、これは適切な指摘だとは思えない。
新聞各社の業績の落ち込みは、経済学で説明することができる。需要と供給による市場価格の決定がそれだ。
IT革命以降、われわれに提供される情報量は莫大に増えた。そのために情報の供給過多によって2次ソース部分の価値が大幅に減少しているというわけだ。

1次ソース2次ソース

報道はすべて、1次ソースと2次ソースに分解することができる。
1次ソースとは、情報の一番大元・出始めを指し、2次ソースはそれ以降のニュースを指す。
ネットメディアは圧倒的にこの2次ソースが多いために、特に2次ソース部分に関する価値の下落が起きていると思われる。
1次ソースを専門に扱う者を、一般には通信社と呼ぶ。需給論で分析すれば、通信社の業績はそれほど悪くなっていないということが推測できる。

CD業界も同じ現象で

CD業界も同じ現象が起きていて、彼らはまだ違法コピーによって売り上げ減少が続いていると思っているようだが、実際には違う。DTMソフトの価格が一般の手に届きやすくなったことや、デジタルで音声を簡単に録音・編集できるようになったために、音楽の供給が増えた。だから価格が下がったのだ。
そもそも、CDをプレスせずにデータだけを販売するチャンネルができたことも、売上という指標で見れば下落要因になるだろう。

ネットとテレビの融合を言ったあの人が思い出される

ニッポン放送の買収、ひいてはフジテレビの買収を目指したライブドアは、ネットとテレビの融合をお題目としていた。
補足として、日本のテレビは新聞社を親として持つ場合がほとんどである。日本テレビは読売新聞、TBSは毎日新聞、フジテレビは産経新聞テレビ朝日朝日新聞だ。
ライブドアの構想は、テレビの画面上に常にライブドアのアドレスを表示しておくことで、ネットへの誘導を行いたいというものであった。あまり知られていないが、テレビでアドレスを表示する秒数というのは制限が行われている。
この戦略は、成長するネット産業における自身の存在を、最大化させようというもので、テレビなどのメディアが斜陽であることを見抜いていたためにとられたものだ。

海外の新聞社

海外の新聞社は、自社の持つ記事資産を惜しげもなく、百何十年も前にさかのぼってすべて公開しているケースが目立つ。
自身の持つニュースソースを、ネットメディアにおける1次ソースとして利用させようとする戦略である。結果として、ネットにおける自身のウェイトを非常に高めることに成功している。

それでもやはり新聞社

いくら全体の傾向として2次ソースの価値が低下しているといっても、やはり新聞社の存在感は大きい。世論形成に大きな影響を及ぼすのは、近年の麻生内閣の支持率の急降下に見ることができる。
先導的な世論形成は、第二次大戦の頃の反省として常々彼ら左よりな新聞社が主張してきたところであるのが皮肉だ。
より優れた社会を目指すのであれば、ネットメディアの拡大ヘの期待はまだまだ高い。