これから起こる市場の動き

 年に何度か、相場の行こうとしている方向が分かるときがある。市場のコンセンサスというかアイディアが浮かぶような感じで。
 今も調度そんな感じだ。


 結論から言えば、米国債に資金が向かって円高になるというだけの話なのだが。
 この予想はこれから1ヶ月以内の近い将来をイメージしている。だから、1ヶ月以内に急激な円高が進まなければ、この予想ははずれたということになる。


 前回為替の予想を行ったのは5月1日。このときはクライスラーの事件を受けて、ドルが高すぎることを感じた。
 そして今度はGMがいよいよ、といった感じである。
 クライスラーそしてGM。アメリカの自動車産業に残された道はただ一つ、どれだけ冷静にBIG3を解体するかということだ。


 自動車の工場は、たびたびM&Aの対象となる。しかし、それはすべて比較的古い生産設備の工場だけだ。最先端の工場を売った買ったという話は聞いたことが無い。
 自動車というのは意外と同じように見えて各社規格がバラバラだからというのが、その理由といえる。減価償却の終わる前の設備をとっかえるほど自動車は利益率の高い工業製品ではない。


 ところが、現時点で売れない自動車を作っている、厳しいことを言えば産業廃棄物を作っているような工場が今アメリカにはたくさんあって、しかも今にも倒産しそうになっているその工場には、何百万人もの人々が勤めている。
 「つぶすにはインパクトが大きすぎる」


 これらが金融市場に及ぼす悪影響というのは、ベアスターンズをつぶしたときと同じように、若干のタイムラグを経て発動するだろう。
 そのタイムラグの発動が調度今、GMの経営陣が自社株を売った今なのだと思う。


 行き場を失ったマネーの向かう先は、歴史的に見て米国債しかない。したがって円高になると思うわけである。